奄美群島の海岸線についての考察

奄美群島
奄美群島

  自己研修として、 5月末の喜界島6月頭に沖永良部島・与論島と廻り(旅の様子は上記のリンク先にある旅行記をご覧下さい)、「3島(喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島 )巡りを終えて」で考えたことをまとめてみました。
 3島はサンゴ礁が隆起した島、サンゴ礁だけで出来た島とばかり思っていたが、実はもっと複雑な地質・地層、そして島の景観があることを実際に見て、その地質・地層、形成の過程について、知らないことだらけでしたので、少し調べてまとめてみます。
 なお、学術的にはかなり大雑把であることはご了承下さい。写真については3島巡りのブログ記事で使用したものを再利用しています。小さいサムネイルが主ですが、クリックすると大きな写真が表示されます。

 サンゴ礁の解説については、環境省自然環境局:国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターの「サンゴ礁について」と、沖縄県農林水産部水産課のお魚レシピ伝道師の「沖縄の海について>沖縄の海の特徴」等をご覧下さい。用語はこれらを参考にしています。

 地質については、喜界島サンゴ礁科学研究所の方に教えていただいた、国土地理院の地理院地図(電子国土Web)の「土地の成り立ち>地質図-産総研地質調査総合センター>20万分の1日本シームレス地質図V2」、用語については検索してみたところ日本地質学会の「地質系統・年代の日本語記述ガイドライン2020年1月改訂版」や地質調査総合センターの「地質を学ぶ・地質を知る」が参考になるようです。

奄美群島の海岸線についての考察

奄美大島の海岸線

 奄美大島の海岸線を以下のタイプに分類してみます。

  • なだらかな遠浅の海底に沿って大きくサンゴ礁が張り出し、リーフを形成していて、外側に礁嶺(しょうれい:方言でヒシ)、その内側から海岸線までの間には礁池(しょうち:方言でイノー)があり、海岸線には砕けたサンゴが白い砂浜を形成する。ヒシ(礁嶺)は干潮では海面の上で出るが、満潮になると海水に覆われる。主に奥行きのあって遠浅の湾や龍郷町屋入以北の海岸線。(以下、タイプA)
  • 海ギリギリまで山が落ち込んだ海岸線にサンゴ礁が張り出している。イノー(礁池)はほとんどなく、すぐにサンゴが砕けた白い砂浜に繋がる。ヒシ(礁嶺)は干潮では海面の上で出るが、満潮になると海水に覆われる。龍郷町屋入以南の海岸線。(以下、タイプB)
  • サンゴの砕けた白い砂浜よりも内陸部にサンゴ礁からできた石灰岩で覆われた海岸、もしくはリーフの途中にある満潮時でも沈まない高さの石灰岩。色は黒ずんでいて、上部はノコギリの刃のように尖っている。満潮時に一部が海水が入り込む場所、リーフ内などは海面の高さの部分は侵食されていることも多い。主に笠利町用海岸や龍郷町手広海岸に見られる。(以下、タイプC)
  • 海ギリギリまで山が落ち込み、山の砕けた石(泥岩など)で覆われた海岸。茶色の石が多い。主に焼内湾や大島海峡、加計呂麻島に多い。(以下、タイプD)
  • 海底や山の砕けた岩が砕けて砂もしくは砂利(丸く削られている)となっている海岸線。泥岩よりも硬く、白っぽい、あるいは灰色っぽい色が多い。ホノホシ海岸、嘉徳海岸等。(以下、タイプE)

 タイプDおよびタイプEの海岸線は、海底プレートの移動により大陸のプレートと地続きとなった付加体(海底の堆積物がプレートにくっついてできた地層)が沈下していく過程で沈まずに残ったことによって出来た海岸線です。

喜界島・沖永良部島・与論島の海岸線

喜界島
ハワイビーチ

 喜界島・沖永良部島・与論島の3島は基本的にサンゴ礁が隆起して出来た島ですので、タイプAとタイプBがほとんどと思っていたのですが、喜界島と沖永良部島はタイプCのサンゴが多い、あるいはこのタイプCが連続している海岸線が多く、サンゴ礁が砕けた白い砂浜が少ない。
 あるいは、陸地から直にタイプCの黒っぽいギザギザのサンゴ石が連続し、海に突き出した断崖の形(沖永良部島の西側、国頭岬からフーチャ、そして田皆岬までの海岸)になっています。

沖永良部島、笠石海岸
沖永良部島
笠石海岸

 また、奄美大島の笠利町用で見られる奇岩もそうですが、沖永良部島の笠石海岸にも笠型(キノコ型)の石灰岩が見られ、名称の由来だそうです。
 沖永良部島にはタイプDの海岸線が北部の国頭岬の近くで見られましたが、基本的にCとDの海岸は3島にはまったくありませんでした。

サンゴ礁の海岸線の違い

与論島
与論島

 では、サンゴ礁の海岸線は、タイプAもしくはBのような白い砂浜・イノー(礁池)・ヒシ(礁嶺)のようなタイプと、タイプCのような黒ずんで、先のギザギザになっている石灰岩の2タイプあるのでしょうか。

 当初は、サンゴ礁が形成された年代の違いや、水深などの違いによるサンゴの種類の違いなどを考えていましたが、喜界島サンゴ礁科学研究所の方に質問したところ、以下の回答をいただきました。(以下の回答は編集しています。文責は私にありますので、喜界島サンゴ礁科学研究所への問い合わせ等は行わないでください。)

 奄美群島の石灰岩の年代は、それほど大きく異ならず、海岸の石灰岩なら喜界島などの新しいもので〜7.5千年前、沖永良部島の北部なら〜5万年前などで、地質的には似通ったもの。
 海岸線で観察される石灰岩の色の違いは、主に風化に伴う表面の色の変化ではないか。
 石灰岩表面の有機物が紫外線に反応して黒化する場合や、陸域からの土壌の粒子などに接触する部分は茶色くなったりする(例えば大島の笠利の用海岸など)。
 ギザギサや丸っぽいものなどは、風化が進行しているものはギザギザ、より風化が進行したものは丸っぽくなることが多いと思われる。
 従って、色の違いのみからサンゴの種類やその生息水深を一概にいうことは難しい。

(喜界島サンゴ礁科学研究所の方からのメイル回答を要約)

白いサンゴ礁の海岸

沖永良部:西郷どんロケ地

 サンゴはポリプという小さなイソギンチャクのような生き物が集まって構成している動物で、ポリプは神経と消化器を繋げて共有し、それぞれが出す石灰質が全体の骨格を形成しています。この時の石灰質は白です。そして、これが固まったのがサンゴ礁で、砕けて白い砂となります。全てではなくて、星の砂として有名な有孔虫なども白い砂を構成しています。

 こういう場所のサンゴ礁は干潮時には海面の上に出ますが、満潮時には海中に沈みます。そして常に波・海水に洗われています。
 結果、白い石灰岩があるいは丸みを帯びた白い石、さらに細かく砕けて白い砂となります。

黒っぽい石灰岩の海岸

沖永良部:田皆岬
沖永良部島
田皆岬

 黒っぽい石灰岩の海岸、石灰岩は海のそばですが、満潮になっても水没しない高さ、あるい場所です。

 台風など強風の際は波がかぶることや、風で飛ばされた塩分が降り注ぐことがあるでしょうが、通常は白いサンゴ礁の海岸のように満潮時には海水で洗われることはありません。

沖永良部:田皆岬
沖永良部島
田皆岬から国頭岬方向の海岸線

 そのため、常に風雨さらされ太陽光に焼かれる、あるいは飛んでくる土砂が一部を覆ったり植物が生えてくることによる変化等で変色し、結果、白ではなく着色して黒ずんだようなことになるのでしょう。(この石灰岩の変色については、さらに調べたいと思います。)

 さらには雨に含まれる酸性成分によって石灰が溶かされてトゲトゲの尖った形状になると考えられます。(参考:WikiPedia カルスト地形

隆起の規模により異なる地形

沖永良部島:フーチャ
沖永良部島
フーチャ

 沖永良部島の西側、国頭岬からフーチャ、そして田皆岬までの海岸は黒っぽい石灰岩がかなりの切り立った断崖を構成しています。また、喜界島の東側にあたる七島鼻から百之台の海岸段丘、与論島の与論城(グスク)跡の海岸段丘もかなりの段差です。

 これらは、大規模な隆起により、一気に高さのある石灰岩が出現し、そこへ海からの叩きつける波が下をえぐり、崩落して形成されたのではないかと想像します。
 その途中の状況が、沖永良部島のフーチャです。海に大きく石灰岩が張り出していますが、海面近くから横穴があり、それが途中で上に吹き抜けますが、やがて崩落していくでしょう。
 奄美大島の笠利町用海岸の奇岩や沖永良部島の笠石海岸の笠状の石灰岩は、その名残で、その後の隆起の速度は遅いので、白い砂浜と遠浅のリーフが形成されていると考えられます。

 奄美大島では、龍郷町赤尾木から北は喜界島と似たような作りで、恐らく海底のサンゴ礁が隆起して出来たのでしょう。それで笠利町の用海岸の奇岩や手広海岸の黒っぽいギザギザの石灰岩も、そうやってできたのではないでしょうか。

 しかし、赤尾木よりも南部は大陸の一部が徐々に沈んでいく形でしたから、大規模な石灰岩が出現することもなく、遠浅の奥行きのある湾などは特に白い砂浜が形成されたと想像します。

ムンヌシリハテヤネン(物の知り果ては無い)

 島々の景観や岩を見た感じから、調べてみて、以上のような考察をしたのですが、喜界島サンゴ礁科学研究所の方に教えていただいた国土地理院の地理院地図(電子国土Web)の「土地の成り立ち>地質図-産総研地質調査総合センター>20万分の1日本シームレス地質図V2」で地質を細かくみてみると、沖永良部島のフーチャの周辺は一気に隆起した石灰岩の断崖のようですが、中央から田皆岬にかけて、さらに喜界島の七島鼻から百之台の東側と与論島の与論城(グスク)跡の断崖の地層は石灰岩ではありませんので、違う形で断崖が形成されているようです。

 今後も、奄美大島を中心に群島の各島々の地層について、そして次は徳之島へ行って実際に景観と岩を見て、地層図で調べて、島と海岸線の地形について考察をしてみたいと思います。

 方言で、ムンヌシリハテヤネン(物の知り果ては無い)。
 まだまだ、調べて学ぶことは続きます・・・

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