屋久島から加計呂麻チップ工場問題について

屋久島でお世話になった方にメイルで問い合わせたところ次のようなご返事をいただきましたので、ご紹介します。


テープ起こし(労作!)の大東担当者の発言に少しコメントを。

  • 「木を切れば森が若返って保水力が向上する」の一点張りだが、森林を伐採すれば、当然ながら森林は消滅するのであって、同時に現在森林が持っている保水力も消滅する。
    30年後には元に戻るのかもしれないが、それまではマイナスが続くと考えるべきだ。
    この担当者は森林生態に関して知識がないので、一つ覚えを繰り返しているだけかもしれない。
    こういった説明・検討会では、生態学者のような人をアドバイザーとして同席させ、いい加減な話は一蹴してもらうといいのではないか。
  • 昭和40年代に奥岳の屋久杉の伐採(国有林)が進み、同時に海岸に近い前岳部のパルプ伐採が進んだ。
    この時期に屋久島沿岸では藻場(ホンダワラ科の海藻群落)が消失し、これを毎年産卵場としていたトビウオの大群が絶滅した。
    藻場は現在に至るまでまったく復活していない。
    陸域の自然環境が破壊されるとその悪影響は海域に及ぶということが経験的に広く知られており、魚付林の保護は各地で課題となっている。
  • 屋久島の照葉樹林は、多くが共用林(地元が薪炭林などに使用してもよい国有林)にあったが、そのほとんどはすでに伐採されている。
    またわずかに残された林分や、再生した林分も、自然保護意識の厳しくなった屋久島ではおおっぴらに伐採しにくい。
    おそらく屋久島ではもう仕事があまり出来ないので、抵抗の小さそうな他所の島に場所変えしようというのが、今回の計画だろう。
  • 屋久島で伐採した後でも、川の水がそう簡単に涸れないのは、圧倒的に降水量が多く、また山塊が大きく膨大な地下水を内包することが出来るためだろう。
    加計呂麻島で皆伐しても水は減らない、と考えられる理由はない。森林の保水力は、

    1. 雨を一旦受けとめ、葉や樹皮に付着させる、またその水をゆっくりと流し、地下へ十分に浸透する時間を確保する
    2. 保水した土壌を根系で保持し、山が崩れないようにする
    3. 葉から蒸散した水分を森林内にこもらせ、湿度を維持する。lこの湿度の中で生息する生物は非常に多い。破壊すれば湿度はけし飛び、小動物は限りなく姿を消すだろう。

    など、様々な現象が絡み合って総体をなしている。
    伐採してたとえすぐに天然更新が始まったとして、1.はなんとかなっても2.と3.は失われるので、保水力は衰える。

以下、テープ起こしから引用したものへ少しコメントします

(1)

地元
大島の真ん中は一回も切ってないけど立派ですよ。
大東
間伐をされるからですよ。
地元
原始のまま、その方が立派です。
大東
そうですか。だけどですね、うちらの屋久島は、屋久島と徳之島は工場やってましたけど、昔のままのところは枯れて行ってますよ。

※コメント⇒人工林と自然林を混同しているうえ、屋久島の森の現状を知らない。屋久島で「昔のままのところ」(原生林と言う意味か?)が枯れていくというのなら、300年以上の荘厳なヤクスギの森は何なんだ?

(2)

大東
うちらとしては、自然の破壊というより再生、山の再生なんです。国の方針がそうなっていますから。営林署の方も、今までは保護というのは何も手を入れないのが保護でした。だけど今は、去年、一昨年頃からいろいろ変わりまして、手を入れてます。

※コメント⇒(1)に引き続き、保護と管理をごっちゃにしている。生半可にありがちな混乱した発言。国(林野庁)は全国的に人工林を保護ではなく放置して荒廃させてしまい、現在は森林組合などを下請けに使って(形だけ)間伐をしている。一方で「林野庁は自然を守っている」という印象を浸透させようとして、自然林には徹底して手をいれないという姿勢を強調している。なお営林署は改名して森林管理署と名乗っている。

(3)

大東
証拠に、うちが屋久島で50年間やって、自然遺産の島で50年間やれるということは、何も無いからやれるのであって、非常に、屋久島では反対にその昔の古い山は切って下さいという意見になってますね。それはお宅なんかが調べてもらっても分かります。

※コメント⇒各集落の共用林組合が立木の売却をすることはあるが、古い山は切ってください、というような注文はあまり聞いたことがない。それどころか、永田集落などは土面川の国有林伐採後に起きた土石流によって大損害が発生したため、国(林野庁)を相手取って裁判を起こした。しかもこれに敗訴したため態度を硬化させ、2度と伐採は許さないという強固な立場をとっている。

(4)

大東
屋久島という島は鹿の多い島で、鹿が届く範囲に餌が無いんです。山の中に。それが民家に下りてきてミカンとか野菜とかみんな食べてます。屋久島の畑は2m50位の電気柵を張っています。それを帰すには、山の木を切って新芽を吹かせて餌場を作ってやればそこに帰ると、今、そういう風になってます。

※コメント⇒山中に広大な伐採地を作ったためシカが増え、これが里に下りて畑を荒らしていると考えられている。話の順序が逆である。また山の木を切って餌場を作ってやるなどという計画は全くない。

屋久島でも林野庁や大東の伐採に疑問を感じ、批判的な意見を持っている者はいます。問題がないのではなく、他に大問題が多かったので、目立たなかっただけです。

なお屋久島の大東海運は現在チップよりもスギ小径木製材が主な仕事になってきているようです。

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これまでのコメント

  1. じゅん より:

    先方の言うところの「山の再生」を説明会でも具体的に示してもらえたのでしょうか。工場のスペックと伐採計画を公表すると同時に、第三者の調査機関による森林の再生スピードの調査、屋久島での実績の精査も必要と思われます。持続可能な資源の利用は人類の夢でしょうから、むげに却下するよりも建設的な議論が行われることを期待します。

    ・・・というのは、傍観者的建前の意見ですが、個人的には屋久島(504平方キロメートル)よりもはるかに小さい加計呂麻島(77平方キロメートル)で同規模の伐採を行えば、生態系が崩壊するのはたやすく想像がつきます。そのリスクを承知で島民の皆様が受け入れるのかどうかにかかっているのかと思います。

    しかし、「破壊」「汚染」などのキーワードで感情的になることなく、島の後世に恥じない聡明な判断を下される事を期待します。

  2. mizuma より:

     説明会のテープを起こした文章がsavekakeroma@まとめウィキにリンクされているブログにあります。
     これを見る限りは、「山の再生」についてはほとんどまともに考えているとは思えない説明です。

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