ハブが増えたか減ったかの問題じゃなくて

 昨日、Twitterに以下の記事が流れていて、いい加減こんな煽るような記事はやめて欲しいとTwitterに書きましたが、さすがに140文字では誤解を与えるようなので、記事にします。

カラパイア:奄美のハブが急増、「異常発生か?」と不安がる住民たち(鹿児島)

 鹿児島県の奄美大島と徳之島で捕獲されるハブが急増しているそうだ。「異常発生か」と不安がる島民もいるが、専門家は、観測史上最長となった今年の梅雨が、湿気を好むハブの活動を活発化させたとみている。

 よーく読んで下さいね。”捕獲されるハブが急増”です。
 自然界のハブが増えたかどうかではありません。

 このハブの急増は、「雨がずっと降り続き、ハブの活動に良い環境が整っていたためでは」とハブ研究家の服部准教授は話しているそうだ。

 ハブは気温18~27度、湿度70~80%の夜や朝方に最も活発になる。服部准教授は「ハブは急激に増える生き物ではない。活動が活発化して人間と遭遇する機会が増えたと考えるべきだ」とした上で、「ハブが見つけやすくなり、これまでハブ捕りをしたことのない人も捕るようになったことも背景にあるのでは

と語っているという。

 この服部准教授という方、どこの大学の方なのかがよくわかりませんが、最後に指摘しているように、ハブ捕りが増えた結果、ハブの捕獲数が増えているのです。
 で、最後に、

 1日に3匹捕まえられれば、月収で36万円。危険だけれど夏のお小遣い稼ぎにはいい金額になりそうだね。

 この記事を見たんでしょうね。発言主は書きませんが、Twitterにこんな書き込みがありました。

奄美大島でハブが大量発生してるとか☆  1匹4千円らしいから2日で10匹捕まえればただで奄美大島へ旅行が出来るよ!

 とありますが、くれぐれも奄美に遊びに来たついでに小遣い稼ぎ、なんて考えないように。役所が確かに買い取ってくれますが、住民票がある方だけです。

 奄美に住んでいる人は普通、”ハブに噛まれたらどうするか”は考えません。とにかく”ハブに会わないようにする”。
 会わないようにするにはどうするか。昼間、ハブが隠れていそうな場所、直射日光が当たらない藪に入ったり、穴に手を突っ込んだりしないことです。
 さらには夜の山はハブだけでなく生き物が活動するエリアです。ネズミやカエルが活動します。当然、それを狙ってハブも活動します。
 この写真のように小鳥を狙って木の上に登る場合もあります。

 いたずらに夜の森に入って足元だけ見てると危ないですよ。
 でも、ハブがいそうな場所にさえ行かなければ、全然安全です。
 最初の記事にあるように”「異常発生か」と不安がる島民もいる”なんていうのは大げさすぎます。少なくとも私はこんな声、聞いたことありません。

 地元新聞でもハブの捕獲数の増加については記事があり、ハブの専門業者、原ハブ屋奄美さんのブログでも紹介されました。
 この記事にもあるように、厳しい雇用情勢が背景で、ハブ捕りをする人が増えたのだと思います。
 実際、夜の野生生物観察コースで森に入ってもハブ捕りらしき車が走りまわっていて、野生のハブすら見ることが困難になっています。
 しかし、だからといって減ったというわけではありません。
 これも発言主は書きませんが、こんどはTwitterに、

奄美の島のハブが減ってきてるってのは大問題!怖い生き物だけど、ハブ(ヘビ)は神様、ハブがいるからあの綺麗な島の生態系は守られている。ハブがいなくなったら奄美の自然もボロボロになっちゃうよ。なんか色々考えてしまった…。。

 と、ありましたが、減ったかどうかもわかりません。
 単に車が走りまわる所では見なくなっただけかもしれませんので。
 確かにハブは恐ろしい生き物ではありますが、島の守り神です。
 ですから、森の奥まで入ってハブを捕るのはどうかと思うんですけどね。
 見つけきれませんでしたが、先にご紹介した原ハブ屋奄美さんの記事でも、過去にハブ捕り業者同士の取り決めで森の奥まで入ってハブを捕獲するのはやめるようにしたそうです。

 ハブを含め、生き物と人間がうまく共存している島、奄美であって欲しいと思います。

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