サネンバナ

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ゲットウ(月桃)
ゲットウ(月桃)

 梅雨を代表する花、サネンバナです。
 正式名称はゲットウ(月桃)。
 ”サネン”というのはゲットウの方言名です(沖縄では少し異なりサニン、サンネンなどともいうようです)が、実は島の人は似たような3種類を全て”サネン”と言います。
 3種類というのは、このゲットウの他にクマタケラン(熊竹蘭)とアオノクマタケラン(青熊竹蘭)、 全てショウガ科の植物 です。
 サネンというとどうしても、このゲットウのイメージがあるのは、個人的な感想ですが、1)集落内に多い、2)(ちょっと古いですが)三沢あけみさんの「島のブルース」の歌詞で知られている、といった理由かなと思います。月桃茶等、ゲットウの葉を利用した商品も多いですしね。

クマタケラン(熊竹蘭)
クマタケラン(熊竹蘭)

 しかし、このゲットウは奄美大島の自生種ではなくて、「琉球の樹木」によると台湾~東南アジア原産で、クスノキ等と同様に史前帰化植物といって、かなり昔に薬効などがあるために有益な植物として持ち込まれたものと言われています。
 3種の内、自生のものはアオノクマタケラン(青熊竹蘭)で伊豆・紀伊半島・市九九・九州~先島に分布するゲットウより小型(月桃の半分ぐらい)で、花もゲットウのような大柄なプックリとした花ではなくて小型の花です。
 そして、ゲットウとアオノクマタケランの雑種(自然交配種)がクマタケラン(熊竹蘭)と言われています。実際、葉の厚みはゲットウが分厚く、アオノクマタケランは半分ほどの厚み、クマタケランも同様です。クマタケランはゲットウと大きさはほぼ同じですが、花の形はアオノクマタケランによく似ています。
 3種の分布ですが、自生と言われているアオノクマタケランは森の中で集落内や畑などではほとんど見かけません。逆にゲットウは森にはなく、林道でもかなり陽当たりのいい場所(人の出入りが多い場所)や畑の周辺で、アオノクマタケランも同様です。
 また、奄美のカシャモチというヨモギと黒糖とモチ米粉を混ぜて蒸し上げて作る餅がありますが、これを包むカシャの葉というのがサネンです。これがややこしいことにゲットウなのかクマタケランなのか人によって異なるのです。恐らくアオノクマタケランは葉が小さいので包むためには使えないでしょう。しかし、ゲットウは包むには香りが強すぎますし、葉が分厚いような気もするんですよね。畑のような感じで栽培している様子を見るとゲットウではなくてクマタケランだと思うのですが・・・
 サネンの葉は3種共に殺菌効果があり、香りがいいということもありますが、奄美には本土のような大きな笹の葉がありませんので、笹の葉の代わりとしてお刺身の下にひいたり、料理の彩りに利用されることもあります。
追記:ゲットウもカシャモチに使うそうです。Facebookにてコメントで教えてもらいました。

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